５ 宇宙ロケット型水ロケットの開発
- 2.5段式宇宙型ロケットの開発
安定して２段式水ロケットが飛ぶようになると欲が出て３段式水ロケットがほしくなってきました。ホース収縮式システムは簡単に増設することができます。そこで２段式の間に１個ロケットエンジンを入れた３段式水ロケットを作りました。
実験してみると分離はポン、ポンと分かれていき、３段式ロケットの面白さが十分出てきます。しかし、垂直距離は２段式水ロケットと大差ありません。その理由を考えると、３段式水ロケットの圧力は１段目７気圧、２段目５気圧、３段目３気圧と次第に下がっていきます。しかも、１段目で持ち上げなければならない質量は増えているにもかかわらず１段目の推進力は２段式水ロケットの場合と同じなのです。つまり、エネルギーはそう増えないのに総質量は増える形になります。これでは２段式水ロケットと格の違う３段式水ロケットになりません。
１段目の推進力を根本的に増やす必要があります。最初は今までの２段式ロケットの両サイドに２基の水ロケットをくっつけ、その２基を同時に動作させて今までの２倍の推進力をうる。そして、その２基の噴射が終了するとセンターの２段目が噴射を初めて、それが終了すると３段目が飛び出していく、と言う方法を考えました。しかし、実験してみると、この方法はすごく不安定な飛行をし、発射台から飛び出すや否や向きを変え水平方向に飛んでいき、非常にこわい思いをしました。
そこで、純粋３段式をあきらめ、スペースシャトルやＨ－２ロケットのようにメインロケットと両サイドの補助ロケットの３基が同時に噴射を始める方式にしました。動作の方法は３基のロケットエンジンで発進したあと、両サイドの補助ロケットがまず噴射を終了して分離する。そのまま中央のロケットエンジンで飛行を続け、0.5秒後に２段目が分離して飛び出していく、と言う形の2.5段式ロケットです。この方式にしてすごく安定して飛ぶようになりました。
- ３段式宇宙ロケット型水ロケット（Ｂ－�）
2.5段式宇宙ロケット型水ロケットが安定して飛ぶようになったので満足していたところが、VTRでとったその映像を見てショックを受けてしまいました。
VTRの画面では２段目はあっという間に加速するために画面には写っていません。（駒送りで見ると２コマ＝2/30秒間だけ写っていました）そして両サイドの補助ロケットとセンターのロケットが空中でポン、ポン、ポンとほぼ同時に分離するため、空中分解したように見えてしまいます。どう見ても多段式ロケットが分離して2段目が飛び出したように見えないのです。
大型ロケットの飛行のように見えるためには2段目が分離と同時にあっという間に飛び去ってしまう飛行状態を改良する必要があります。そこで2段目の分離方法はホース収縮式分離装置を用いないで、ワンタッチジョイント・ノズル結合式分離装置を用いることにしました。このメカニズムはノズルのついた普通の2段式ロケットを1段目の頭部にワンタッチジョイントでくっつけてロックし、空中でロックをはずし、2段目が発進する、という分離方式です。これは4年前に最初に考えた2段式ロケットの分離方式です。しかし内容に置いては本質的に異なっていて、
- ロックを解除する糸は1段目の両サイドの補助ロケットの分離時にその補助ロケットが引くようになっている。
- 2段目の空気は1段目から逆止弁を通って注入される
メカニズムです。
このようにすると1段目7気圧、2段目7気圧、3段目5気圧となり、単純にホース収縮式分離装置を組み合わせた状態に比べて2段目以降の圧縮空気のエネルギーが普通の2段式ロケットの場合と同じになります。そのため垂直飛距離も2段式ロケットは1段目から分離した後、水を噴射しながらゆっくりと加速していくので（計算では約13m/s2～40m/s2の加速度）実物の宇宙ロケットの飛行のようにぐっとダイナミックな飛行になりました。また、1段目、2段目はパラシュートで回収し、3段目は超細長ロケットの原理を利用してリフティングボディとして飛行し、着地します。
